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サハラ砂漠2500km走破!「ガゼル・ラリー」
チーム「ニスモ・アルツ・ジャパン」紹介
2004年大会 ラリー競技レポート
メディア報道実績
2005年参戦に向けて



【4月26日/競技:エタップ4:イハンダール】
暗闇の激走、これぞまさに「希望の轍」
 昨夜、ちょっとしたアクシデントがあった。砂丘ジャンプの時に強打した左腕の痛みがピークに達し、胸より上にあがらなくなってしまった。ドクターが入念にチェックしてくれたが、レントゲンが無いので骨折してないとは言い切れない、という。「明日はドライビングをしない方がいい」そう言われて私は抵抗した。腕の1本や2本、折れたっていい。私は砂漠を走るために来たのだ。ドクターはそれ以上なにも言わず、痛みどめ薬を出してくれた。
 この日は、CP間の走行距離が今まででいちばん長かった。
一瞬のミスでパンクしてしまいそうな岩漠や、砂のように見えても実は底なし沼が隠れているという、ウエッド(水なし川)といった危険な路面を30km以上も走り、CP1を通過した。その後だんだんと岩山に入り、タイヤ1本分でもラインをはずれれば転落しそうな急斜面に挑みCP2を目指すが、地図上の山と実際の山を読み違え、数時間探しまわる。夕方4時、ようやくCP2を通過したものの、野営地ははるか100km以上彼方にあることに気づき、不安がよぎる。暗闇の中、ヘッドライトに浮かぶ誰かが残した轍が、野営地へ続くものであることだけを祈り、必死に戻ったのであった。
右上:野口さんと知恵をしぼって用意した荷物用コンテナだったが、走行時の振動と砂丘ジャンプによって無惨にも破壊された。やはり木やアルミなど強靭なものが必要だったようだ。
右下:フランスのファッション界で活躍する、モデルのキャロル。こんなに美しい女性だって、ガゼルになったらタイヤの空気圧チェックをする。このラリーに魅せられ、もう3回目の出場なんだとか。



【4月27日/競技:エタップ5
:イハンダール→ムハミッド】
減る体力、増すテクニック
 競技は後半戦へと突入していた。野口さんは体中が悲鳴を上げているらしく、なかなか起きられない。それもそうだ。もう何日も、競技中はほとんどスポーツドリンクと数枚のクラッカーしか口にしていない。加えてこの暑さ。気温は40度を越え、エアコンが壊れてしまった私たちのマシンは、窓を閉め切っていれば相当な温度になっているはずだ。水分はすぐに汗となり、どんどん補給しないと熱射病で倒れてしまう。そして極度の精神的疲労。1秒でもボーっとすれば、それが方角間違いや距離計算ミスにつながってしまうため、気をゆるめるヒマがない。朝6時から走り続け、野営地にゴールするのは夜の9時10時だ。ゆうに15時間は緊迫状態におかれているのである。
 体力はすり減っているが、ドライビングとナビゲーション能力は着実にあがっている。以前なら諦めて迂回していた危険な路面にも果敢に挑むようになり、地形による方角と距離のズレを予測し的確なナビができるようになってきた。この日はCP3まで順調にクリアした。全CP制覇は不可能じゃないかもしれない。しかしそんな邪念がよぎったせいなのか、CP4へ向かう途中、いつの間にか方向を誤り、CP5に到着してしまった。やはり砂漠には魔物が棲んでいる。惜しくも全CP制覇ならず。
右上:最短距離でCPに辿りつくには、時にはこうした危険な路面にチャレンジしなくてはならない。頼れるのは自分たちの力だけだ。一歩ずつ歯をくいしばって、乗り越えていくしかない。
右下:砂漠にはパンクの危険がそこらじゅうにある。とくに、エメラルドグリーンに光る岩は、踏むと鋭利な刃物のようにゴムを切り刻む。



【4月28日〜29日/競技:エタップ6(マラソン)
:ムハミッド】
なにがなんでも、完走したかった
 泣いても笑っても、今日が最後だ。2度目のマラソンエタップは、3つの難易度のコースから1つを選び、まずはCP1を目指す。無事に到達すると、その後のCPが指示された用紙を受け取ることができる仕組みだ。砂丘の真ん中にCP1を見つけ、私たちとしては最速のペースでクリア。受け取った用紙と地図と計算器をにらみ、その後のCP位置を割り出す作業にかかるが、時間をかけすぎるとどんどん気温があがり、砂丘の砂のグリップが悪くなる。つまりスタックしやすくなってしまうのである。時間との闘いとなった。急ぎつつも冷静に正確に走り、正午近くにCP2を無事通過。すぐにCP3を目指すが、砂丘とウエッドが果てしなく続く、今回の最難関地点に迷い込んでしまう。蛇行すると方向を見失い、かといって立ちはだかる砂丘を越えて直進するのは、マシンと精神的ダメージが大きすぎる。なす術をなくした私たちだが、運良く1筋の轍に遭遇。「これで行くしかない!」との直感を信じ、生い茂る草木を凪ぎ倒し走行していくと、目の前がパッと開けた正面にCPの旗が! 2人は思わず歓声を上げた。しかしそこは目指すCP3ではなくCP7だった。すでに日が沈みかけていたため、その日はそこで野宿する。初めての、たった2人だけの野宿だ。心細さを感じながらも、疲労で熟睡した。
 翌朝、1.5kmしか離れていないCP3を目指す。が、これが山の斜面に砂丘が混在しているという難関路面だった。予想外に苦戦しつつもCP3を通過し、すぐにCP4に向かうが、このあたりから恐怖の砂嵐があたりの景色をすっかり覆ってしまっていた。方向がわからない。連日の疲労がピークに達し、次第に意識が朦朧としてくる。距離感覚さえ失い、時間だけが過ぎていく。このまま走行したら、危険だ。私は木陰を見つけ、エンジンを切った。2人とも意識を失った。
 どのぐらい経ったのだろう。気がつくと、もう夕方だった。CP4を断念しゴールを目指すが、川幅200mはあろうかというウエッドの中を、日没と競いながら激走。数百mごとに岩や草、大きな段差と激変する路面に手こずり、なかなか進まない。前方になにか蒼いものが見えてきた。初めてみる、オアシスだった。傍らには、ロバを連れ意味不明の言語を話す老人が立っている。まるで仙人を見たようだった。
 ついに暗闇に覆われてしまった。まだ遥か遠くに見える村らしき明かりだけをたよりに走る。手足はただ機械のように動き、あるのは最後の1滴の気力だけだ。そして夜8時半、ゴールが見えてきた。オフィシャルたちに出迎えられた瞬間、2人はもつれ合うように歓びをかみしめた。長い長い闘いが終わった。
右上:2人きりで野宿。今夜の夕食は、冠スポンサーのアイシャから配給された、フランス軍御用達のアウトドアミールである。壊れたラジエターカバーとリアバンパーを風よけに使い、即席キッチン完成。私たちも立派なサバイバー!? 右下:砂漠の真ん中で目覚めるのは、本当に清々しい気分だ。見渡す限り、360度の地平線というのは日本ではありえない光景。それだけで、ここまで来て良かったと思う。今日は最終日。また砂漠に飛び出していく。


【4月30日/移動日、5月1日/表彰パーティー
:マラケッシュ】
至福の時
 最終エタップのゴール地点であったムハミッドをあとにする。これで砂漠とはお別れだ。まる1日かけ、800km離れたモロッコ有数の観光地、マラケッシュに入った。ここには市場があり、街並みも人ごみも混沌としていて、アジアに近い熱気を感じた。表彰パーティーが行われるホテルは、市場からほど近い超豪華な3ツ星ホテルである。まさに地獄からの生還!? 古代から現代にタイムスリップしたかのよう。
 バスタブに浸かるだけで、こんなにも心が満たされることを知った。洋服からはあとからあとから砂が出てくるけれど、体はきれいサッパリ、生まれ変わった。
 1泊して、表彰式。オフィシャルが徹夜で編集したのであろう、ダイジェスト映像が流れる。全チームが表彰台に呼ばれ、トロフィーを受け取る。悔しいことも、納得いかないことも、山のようにあるけれど、今だけは無条件で自分に勲章をあげよう。そう思った。みんな最高に輝いていた。
 その後女性らしくドレスに着替え、本格的なパーティーにうつる。もう、無礼講だ。敵も味方も国籍の違いもなにもない。この、ガゼルラリーという過酷で素晴らしい競技をともに乗り越えた仲間。そんな一体感に包まれた時間だった。
 ありがとう。ここまで私を支えてくれた、すべての人、そしてものたちに心から。
右上:どんなに辛くても、野営地について何時間か眠ると、気持ちがリフレッシュする。スタートする時にはいつも、こんなにもおだやかな表情だったというのは、やはり大地の不思議なパワーのおかげだったのだろうか。
右下:表彰式で、ドミニクさんからトロフィーを受け取る。しぜんと笑顔がこぼれる。すべてが終わった。私たちは、走り抜いた。それだけで、じゅうぶんな宝物になった。

【リザルト】4×4クラス:65台中完走63台
優勝
:ゼッケン156番
 HP/ALD/AUTOMOTIVE( TOYOTA HDJ105)
2位
:ゼッケン148番
 CREDIWOMAN(LAND ROVER DISCOVERY)
3位
:ゼッケン137番
 MG/NISSAN(NISSAN PATROL)



57位
:ゼッケン127番
 ニスモ・アルツ・ジャパン(NISSAN PATROL)



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